初めての演奏準備
二胡のお手入れ
二胡の各部名称
弓・松ヤニ
弓(写真は弓の手元側です。)
弓は、ご使用前にスクリューを回して毛を張ってください。
毛の張りすぎにはご注意ください。
弓を使用していないときは、スクリューを回して毛をゆるめてください。
弓の毛を素手でさわらないでください。音が出なくなったり、毛の劣化の原因となります。
買ったばかりの弓は、そのままでは音が出ず、演奏するためには、弓の毛に松ヤニを塗る必要があります。
松ヤニ
松ヤニの塗り方
右手で弓、左手で松ヤニを持ちます。
弓の毛を松ヤニの上に乗せて、少し強めに何度も往復させて、毛全体にまんべんなく松ヤニを擦り付けます。
二胡では弓の毛の両面を使いますので、両面に松ヤニを塗ってください。
擦り付けた後は、毛に松ヤニの粉末が白く付着します。
強い力を加えすぎたり、弓が大きく左右にぶれたりしない限り、簡単に毛が切れることはありません。
はじめて松ヤニを塗るときは、しっかり時間をかけて塗り込んでください。松ヤニが足りないと弓が滑り、音が出にくくなります。
2回目以降は、弓が滑ると感じはじめたところで松ヤニを補充してください。
補充のときに松ヤニを付けすぎないようご注意ください。付けすぎると松ヤニの粉が楽器に付着して白く目立ちます。また、雑音が目立つことがあります。
新品の松ヤニの表面はツルツルしており、最初はなかなか塗ることができないことがあります。
そのときは、表面に紙ヤスリや刃物で少しキズをつけると塗りやすくなります。
松ヤニの同じ部分だけを使い続けると、その部分だけすり減るため、溝ができてしまいます。
そうなると松ヤニが割れやすくなりますので、表面をまんべんなく使用してください。
演奏後は、胴やさおに付着した松ヤニや汗を柔らかい布でやさしく拭き取ってください。
松ヤニが付着したままにしておくと、こびりついて簡単におちなくなる場合があります。
※胴に張ってある皮は、非常にデリケートな部分ですので、胴などの汚れを落とす際には、皮を傷めないよう、十分にご注意ください。
駒、千斤の取り付け方
駒は、弦をゆるめてから、下の写真のように皮の真ん中に立てます。雑音を減らすため、付属のフェルトを下の写真のように挟み込みます。
※胴に張ってある皮は、非常にデリケートな部分ですので、駒立てなどの際には、皮を傷めないよう、十分にご注意ください。
駒から千斤(上駒)までの有効弦長の目安として、およそ38cm~39cmの長さにすると響きが良くなると言われています。駒から測ってこの位置に取り付けます。
ただし、腕の長さや手の大きさ、指の長さには個人差があるため、手が大きめの人は高めに、手が小さい人や子供については低めの高さに取り付けるなど、状況に応じて千斤を調節してください。
弦とさおの距離は、千斤の部分で約1.8cmの高さを保つようにします。
弓の取り付け方
1.弓のスクリューを写真①の矢印の方向に回して、写真②のように毛を取り外します。
2.写真③のようになるように内弦と外弦の間に弓の毛を通してから1.と逆の手順で弓を元の状態に戻します。
調弦(チューニング)
演奏前に糸巻を回して各弦の調弦を行ってください。
糸巻を回すときは、一気に回さずに、少しずつ回して調弦してください。一気に回すと、弦が切れるなど思わぬ事故が起きるおそれがあります。
内弦は、上の糸巻を時計と同じ方向に回し、開放弦をD(=レ)に調弦します。
外弦は、下の糸巻を時計と逆の方向(金属軸糸巻の場合は外弦も内弦と同じく時計と同じ方向)に回し、開放弦をA(=ラ)に調弦します。
糸巻は、押し込みながら回して調弦してください。押し込まないと糸巻が戻りやすくなり、音が狂う原因となります。(金属軸糸巻は押しこむ必要はありません。)
演奏後の保管
演奏後は皮の保護のため、弦をゆるめて、駒を外すか、写真のように胴の端に駒をずらして保管してください。
二胡のお手入れ
弦について
バイオリンやギターなどの弦楽器と同じく、二胡弦も消耗品です。劣化すると二胡本体の美しく艶のある音色が得られなくなるため、「弦が錆びてきた」「音色が曇ってきた」「音程が取りづらくなってきた」と感じたら、新しい弦に張り替えましょう。使用頻度によっても異なりますが、弦を張ってから6ヶ月~1年後の張り替えをお勧めします。
※弦の張り替え方法・交換方法はこちらにも掲載しております。
千斤について
千斤は上駒ともいい、二胡の有効弦長と上部の弦高を決める重要な役割を担っています。
劣化すると素地が伸びたりほつれたりして、振動を制御するバランスが崩れて雑音が出やすくなるため、少なくとも、2~3年に一度は張り替えましょう。
※千斤の張り替え方法・交換方法はこちらにも掲載しております。
駒について
駒は弦の振動を共鳴板である蛇皮に伝える役割を果たしています。
弦溝が深くなり過ぎていたり、欠けていると、振動が正しく伝わらず雑音が出やすくなるので、そのような状態の駒は交換しましょう。
雑音止めについて
二胡には余分な高音成分が多く含まれています。柔らかく美しい音色を得るために、蛇皮にフェルトやスポンジなどの雑音止めを直接触れさせ、雑音を除去する必要があります。素材がほつれたり、硬くなってくると雑音除去効果が薄くなるため、定期的に取り換えましょう。
蛇皮について
二胡の共鳴版にはニシキヘビの皮が張られており、楽器の喉ともいえる重要な役割を担っています。
デリケートクリームなどは保湿成分を含んでいるため、塗布することで皮を緩めて音色を損ね、オイルは蛇皮の内部に浸み込んで皮そのものを柔らかくしてしまい、動植物系のオイルを塗ると後々は皮が酸化して硬くなってしまいます。基本的には蛇皮には何も塗らず、松脂等の汚れが付着した際はクリーニングクロスで拭きましょう。
演奏しない時は、エアコンの風が直接当たることのないよう、専用ケースに入れて保管しましょう。