弓選びのポイント
竹棹は手元側が少し太く、先端は少し細くなっています。全体がムラなく均質で内側に少し反っており、弓毛を張って押さえた時に竹棹がまっすぐになるものが良いでしょう。
竹棹の節は、たいていの弓には持ち手側に一箇所あり、その位置によって弓棹が曲がる弾力性を決めています。丁寧に作られた弓であれば、無節処理された弓でも、節の多い弓でも、弾いた時の感覚でしっくりくるものを選んでいただければ大丈夫です。
弓毛は白いものが最良ですが、白すぎるものは漂白しすぎです。また、毛を束ねてぴったりまとまっていること、毛の量も適量でバラバラにならずに揃っていることが重要です。
調節ネジを回して弓毛を緩めた時に、適切なたるみが保てるかを確認します。反対にネジを締めた時に、しっかり張られた状態になるかも調べましょう。
こんなときは二胡弓の交換時期です。
二胡の世界では、バイオリンなどと違って弓は消耗品であるという考え方が主流です。新品の状態から使い始め、弓毛がすり減ってきたら、2~3年くらいで交換することをお勧めします。
↑ 使い込まれて弓毛がボロボロになってしまった弓
※ 毛量は約220~260本程度が最良と言われています。
1~2割も減ってしまうと綺麗な音を出すことができません。
また、毛のキューティクルが損なわれると、松脂が付きにくくなり、音色も悪くなります。
● 弓毛が切れて量が減ってきた
● 弓毛が伸びて緩んできた
● 松脂の乗りが悪く、弓が滑ってしまう
⇒ こんなときは弓の換え時です。
※図はイメージです。
※使用頻度、使用環境などにより、弓の劣化具合は異なります。
北方式(北京式)弓と南方式(上海式)弓の違い
二胡の弓は、工房によって仕様も様々ですが、大きく分類すると、北方式(北京式)と南方式(上海式)に分けられます。※以下、北方式はERB-50の写真、南方式はERB-90の写真を使用。
上:南方式の手元側(フロッグ)
下:北方式の手元側(フロッグ)
南方式:
フロッグが毛と一体。弦の間に弓の毛を通すときに、スクリューを回してフロッグを棹から外す。
北方式:
手元側の毛が輪になっており、この輪を外して毛を弦の間に通すだけでよい。フロッグを棹から外す必要がなく、毛の付け外しが容易。
南方式:
フロッグ部分から先端側にかけて、棹が上に膨らむように大きくカーブ。
北方式:
同じ部分にカーブはあるが、南方式ほど大きくカーブしていない。
上:南方式の棹
下:北方式の棹
北方式は毛の先端にチップが入っているものが多いが、南方式はチップの入っていないものが多い。
上:南方式の先端
下:北方式の先端
“張 春甲” 二胡弓
中国・河北省北方式(北京式)
1975年生まれ、河北省出身。24歳まで北京民族楽器廠に在籍し、何広恩主任に二胡弓の製作を学ぶ。その後、河北省の民族楽器製作工房を経て独立。張春甲工房の二胡弓は、厳選された材料を使用し、熟練職人の手によって丁寧に仕上げられている。安定した運弓のしやすさ、製品の美しさが高く評価され、著名二胡製作工房にも採用されるなど、近年、急成長を遂げている。
ERB-50 シンプル且つ優れた使用感。入門用にも適した二胡弓
5,280円(税込)
全長:約840mm
重量:約50g
シンプルで優れた使用感の入門用箭竹弓。
弓毛には選定した馬毛を使用。
ERB-160 高級福建竹二胡弓 (北方式)
15,840円(税込)
全長:約840mm
重量:約55g
棹の持ち手部分の紫檀材と堅めの弓棹により力強い演奏が可能。
弓毛には特選馬毛を使用。
ERB-100UB 無漂白馬毛二胡弓 (北方式)
10,560円(税込)
全長:約840mm
重量:約50g
丹念に選ばれた弾力性のある箭竹と耐久性に優れた無漂白馬毛により、音量が大きくダイナミックな演奏が可能。
“宋 学義” 二胡弓
中国・北京北方式(北京式)
1973年、北京星海福音琴業の多くの二胡制作大家を輩出した粛寧県師秦鎮宋荘に生まれる。幼少時からハンドメイドに興味を持ち、音楽の薫陶を受けた後、民族楽器制作の業界に早くから触れる。多くの制作大家のもとで民族楽器制作を学び、2000年に学義佳韵民族楽器廠を創立。現在、中国国内において佳韵高級二胡弓の評価が高まり、学義佳韵の銘柄も名高くなっている。
“李 懐剛” 二胡弓
中国・北京北方式(北京式)
1934年生まれ、河北省出身。16歳で二胡および二胡弓の製作を始め、今日に至る。中国で最も高名な二胡弓製作師の一人。高齢のため、現在は製作工程の多くを娘婿の潘栄亮氏に任せているが、まだまだ現役を続けている。
“王 小迪” 二胡弓
中国・北京北方式(北京式)
北京民族楽器工場出身の女流二胡弓製作師。自らが弓棹に使用される竹材の産地を見て回るなど、二胡弓製作に適した材料の探求に余念がない。運弓のしやすさ、バランスの良さには定評があり、多くのプロ演奏家にも愛用されている。
ERB-202W 王小迪臻品鳳眼竹弓
17,600円(税込)
全長:約825mm
重量:約45g
腰が強く弾力性に優れた鳳眼竹を使い、操作性が高く力強い演奏が可能。
弓毛には特選馬毛を使用。
“寿康弓” 何 寿康 二胡弓
中国・上海南方式(上海式)
1959年生まれ。退職まで上海民族楽器一廠に勤め、その後、寿康琴弓廠を立ち上げた何寿康氏の子息。繊細で高度な技術を持ち、高齢になるまで弓製作を続けていた何寿康氏の製作スタイルを、8歳の頃から間近で学んだ何天翔氏が受け継いだ。耐久性に優れ、濃密な音色を奏でる寿康弓は、中国はもとより、東南アジアや台湾でも高い評価を得ている。