インド小葉紫檀について
その名のとおり紫檀の一種です。
二胡界では古くから「インド小葉紫檀こそが紫檀」、さらには「インド小葉紫檀でできた二胡こそが二胡」とまで言われるほど二胡に適した素材として愛されてきました。
紫檀材の二胡は、一般的に明るく華やかで艶のある音色を奏でるのですが、インド小葉紫檀の二胡はこのような紫檀二胡の性質を十分に保ちながら、重厚さを兼ね備え耳触りも良いという優れた特徴を有しています。
インド小葉紫檀は、その色や木目の美しさと材木としての硬さや安定度のため、古くから高級家具材などとして高い需要がありました。その一方で木としての成長の速度が遅く、その高い需要に対して成長と供給が追いつかない状況が続いてきました。これにより絶滅が危惧されるようになり、この状況を受けて産地であるインドの政府が輸出を完全に禁止するに至りました。
このため、現在では中国の二胡工房が過去に輸入し積み上げた備蓄を切り崩しながら細々と生産している状態で、価格も年々高騰しています。
【萬 其興(Wan Qi Xing)プロフィール】
1938年、上海の北西にある街、無錫に生まれ、15歳から蘇州の楽器店に勤めて二胡製作を学び始める。その後、蘇州の民族楽器工場で、二胡製作職人としてのキャリアをスタートさせる。
1990年に独立して自身の二胡製作工房「古月琴坊」を設立。長きに渡り二胡を研究し、その二胡製作の知識と経験から生まれる品質は、プロの演奏家にも愛され、最高の職人として中国全土より評価を得ている。
二胡製作大師「萬其興」氏謹製
「収蔵版」最上級インド小葉紫檀二胡
古月琴坊を率いる二胡製作大師「萬其興」氏自らの手によって仕上げられた「収蔵版」シリーズは、年間数十本しか製作されない大変貴重な二胡です。
伝統的な手作業により、細部にまで萬氏の心血が注ぎ込まれ、およそ半年をかけて完成に至っております。
「萬其興」氏製作の二胡は、棹が胴敷を貫通しているという特徴があります。また底面には「収蔵版」であることを証明する文字と、実際の製作された年を示す文字、および製造番号が彫刻されております。
蛇皮は、弾力性に優れ、鱗の大きさが均一な、東南アジア産ニシキヘビ皮の最高級部位を使用しております。その美しく柔らかい音色は、伝統的蘇州式二胡の音“神韵”を奏でると言っても過言ではありません。